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じんみんせんせんへのいっぽ

人民戦線への一歩

宮本 百合子

「サンデー毎日」1946(昭和21)年2月3日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,003 字 · 10 页

青空文庫

小競りあいも、空腹が先に立っておれば、荒々しくなりかねない。双方が力ずくになったと仮定して、そのごたごたはどういう法律上の行動として呼ばれるのだろうか。このことを、私たちは、十分の上にも十分、考えめぐらして見なければならない。

市民が、食糧問題にからんで、ごたついたとき、当局が、それに対して名づける罪名に事欠いていようとは、決して決して思われない。

法律だけで、現実の辛苦は解決しないから、その対象となった市民たちは、勿論承服しかねるのだが、そこに人間の心理の機微がある。承服しない市民の感情が、どこに向うだろう。真直、実際の責任者である政府、支配権力に向うだろうか。そこまで万遍なく明快であろうか。まだまだそこまでが一般水準とは言えない。どうも、百姓が米を出さないからじゃないか、というところへ流れよりそうである。

そうなったとき、農村ではどうかと想像してみる。農村とても、決して平穏に彼等の拒絶をしかねているであろう。当然、ごたつく。その結果、次の当然として、強制買上供出としての強権以外の強権が発動するだろう。あちらも、こちらも、大ごたつきに揉めて、つづまるところは、何かと云えば、それを、きっかけとして、農村では農民の自主的な組織や活動が圧殺され、都会では市民が所謂鎮圧されてしまう。