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じんせいろんノート
人生論ノート
三木 清
下記以外「文學界」文藝春秋社、1938(昭和13)年6月~1941(昭和16)年10月<br>個性について「哲學研究 第五十二號 第五卷 第七册」京都哲學會、寶文館、1920(大正9)年7月1日<br>後記「人生論ノート」創元社、1941(昭和16)年8月11日<br>旅について 不詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,023 字 · 143 页
かようにしてまた個性の唯一性はそれが全体の自然の中で占める位置の唯一性に存するのではなく、本質的にはそれが全体の文化の中で課せられている任務の唯一性に基礎附けられるものであることを私は知るのである。
個性を理解しようと欲する者は無限のこころを知らねばならぬ。無限のこころを知ろうと思う者は愛のこころを知らねばならない。愛とは創造であり、創造とは対象に於て自己を見出すことである。愛する者は自己において自己を否定して対象において自己を生かすのである。「一にして一切なる神は己自身にも秘密であった、それ故に神は己を見んがために創造せざるを得なかった。」神の創造は神の愛であり、神は創造によって自己自身を見出したのである。ひとは愛において純粋な創造的活動のうちに没するとき、自己を独自の或物として即ち自己の個性を見出す。しかしながら愛せんと欲する者にはつねに愛し得ざる歎きがあり、生まんとする者は絶えず生みの悩みを経験しなければならぬ。彼は彼が純粋な生活に入ろうとすればするほど、利己的な工夫や感傷的な戯れやこざかしい技巧がいよいよ多くの誘惑と強要をもって彼を妨げるのを痛感しなければならない。