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かたきうちきょうだいがさ

仇討姉妹笠

国枝 史郎

「講談雑記」1936(昭和11)年1月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 80,178 字 · 159 页

青空文庫

「それでたくさんのいろいろの人が、そのお方の所に伺って、お教えを乞うたと有仰るのね?」

「そうなのだよ、そうなのだよ。そんなに根気のよい、そんなに誠心の敬虔のお心を持ったお方なら、私達の持っている心の病気や、体の病気を癒して下されて、幸福な身の上にして下さるかもしれないと、悩みを持ったたくさんの人達が、そのお方の所へ伺って、自分たちの悩みを訴えたのだよ」

「するとそのお方がその人達の悩みを、みんな除去って下すったのね」

「解り易い言葉でお説きなされて、心の病気と体の病気を、みんな除去って下されたのだよ」

「それでだんだん信者が増えて、大きな教団になったと有仰るのね」

「そうなのだよ。そうなのだよ」

「そのお方どんなお方ですの?」

「わしのような老人なのだよ」

「そのお方の名、何て有仰るの?」

「信者は祖師様と呼んでいるよ。……でも反対派の人達は『飛加藤の亜流』だと云っているよ」

「飛加藤? 飛加藤とは?」

「戦国時代に現われた、心の邪な忍術使いでな、衆人の前で牛を呑んで見せたり、観世縒で人間や牛馬を作って、それを生かして耕作させたり、一丈の晒布に身を変じて、大名屋敷へ忍び込んだり、上杉謙信の寝所へ忍び、大切な宝刀を盗んだりした、始末の悪い人間なのだよ」