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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

国学の本なら沢山ありますよ」

私は直ぐと心が動いた。

「行ってもいいか知ら、僕は君のお父さんにお話が聞きたいな」

「来給え。僕がお父さんに話して置いてあげるよ。僕のお父さんは古事記と万葉集の講義が得意なんだ。僕はあまり気がないが、妹は好きで熱心に聴いている。ねえ、鈴子」

鈴子は少し赤くなって、

「あたしなんかよく解らないけれど、好きですわ」

私はしきりに心が動いた。

「僕、是非講義が聴きたいなあ」

「じゃ、やって来たまえ。――今日でもいいよ」

「そうだなあ。僕行きたいけど、帰って伯父に話してからにします」

「うむ。じゃそうしたまえ――茸飯とお露がたのしみだ。お父さんや、お母さんにも見せて、早く飯にしようよ」

彼は鈴子を促して家へはいった。

私は家へ帰ると、夕飯の時に伯父にその話をした。

「そうそう、仁田さんは育英塾に行ってたんだったな。習いに行ったらいいだろう。あの人は学者で歌よみだそうだ。お前は太夫さん(神主のこと)なんか嫌いだろうと思ってたが、そういうことならわしから仁田さんに頼んであげるよ」

「太夫さんは僕嫌いだったけれど、いつか伯父さんと丑寅さんへお参りして、祝詞を聞いてから好きになりましたよ」