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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
「盛んな」という感じが本当に出るのは、角力場か、神楽場である。
何から取ったものか、太郎、次郎、三郎などと言うのが出て問答して、知恵くらべ力くらべ、などする仕組みの舞もあった。又日本武尊の故事から出たらしい火の舞もあった。征服的民族としての原始的気魄が残っていると思った。天ノ岩戸の時以来の天真な、快活な、自然人らしい空気が神楽のなかに伝統しているのだ。
女の見物などもきゃあきゃあ声を立てながら見ていた。そして人波に押されながら楽しそうにしていた。
大蛇退治の稲田姫は他の娘が勤めたが、八乙女と言って、八人の神楽乙女が揃って舞う神楽には鈴子が出た。見物は熱狂していた。私は鈴子が一番美しい気がした。
私は鈴子から聞いて彼女の出る役を知っていた。後はもひとつ今夜のプリマ・ドンナともいうべき豊玉媛の役がある切りであった。それで彼女は解放されるのだ。
私はその演舞を心待ちつつ、押し合いの波にまじっていた。
とうとう彼女は出た。何というミスチックな原始的な、美しさだろう! 彼女が神代の女性の神々しさと竜女の不思議をひとつにこめて、潮干る珠、潮満つ珠を両手にささげ持ってあらわれた。