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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

かるた会がはねて興奮した顔を、夜気に冷して、郷の川に長く渡した巴橋に来ると、雪が真白に積んでいる。

白きを見れば夜ぞふけにける

と誰れかが言うと、急に寒さを催して、外套の襟を立てながら私たちは家に帰るのだ。

宗藤では勿論叔父の機嫌が悪い。こんな時には叔母がそっと起きて、戸をあけてくれたものだ。

妹の重子は叔父がやかましいのでかるた会へは殆んど出ず、たまに出ても技も拙く、そして着物が羽織だけ他所行きでちぐはぐだったりして、私は裏悲しかった。何故なら彼女は桃の華のように美しく、性質も勝気で、頭もよかったから、家さえ自由であるなら、当然この小さな社交界の花形となるに相違なかったからだ。

私がこの陰鬱な、しみったれた環境にいつつ、常に三次で文化的な明るい、第一線に立ってることが出来たのはどうしても私の内なる生命力によったものだと思わずにはいられない。

その頃校内で、私のそうした、美と正義とに伴われた雄健趣味を満足させるような出来事が起った。

それは上級生の運動家で、男色家で、校内で一番幅を利かせていた野蛮な、横田という寮生を、吉本という通学生の硬骨漢が発頭になって、同級生一同とはかって校庭でリンチした事件であった。