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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

という文字が提灯に出ていた。私たちはカードを貰いに教会へ行った。

「思案せずに何事でもイエスに話せ、イエスに話せ、イエスは君らの依るべきの友ぞ」

こういう歌を私たちも口真似で唱った。しかし宗教のことはまだ解らなかったが、私はこのヴァーンスさんという老婦人が好きだった。エヂプトでイスラエルの人民が煉瓦づくりの労役などに酷使される絵を鞭でさしつつ話してくれた。

こうした幼な心におぼろに印象した断片も決して無駄ではない。その時の霊の片鱗は童心の潜在意識にちゃんと印刻されているのだ。そして後年ある契機にふれるとよみがえって来るのだ。

真理は恐しい。真理の一片鱗、いのちの言葉の一断片も、そこらにころがっていれば必ず燃えつき、又種子となって地下にくぐるのだ。

宗教のことでも一つ書きとめて置きたい事がある。

十一、二の頃だった。私は一人戸郷川という村境いの川堤を歩いていたら、目の前の流れにお札が一枚漂うて来た。私は川べに下りてそれを拾って見ると、木山大明神というのだった。私はその札をそっと戸郷橋の裏に張りつけた。そして目を閉じ合掌した。それから色々な事があると、私は誰れにも言わない、その私の神に祈って決めたものだ。