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こうえんのはなとどくが

公園の花と毒蛾

小川 未明

「朝日新聞」1922(大正11)年6月26日~7月10日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 18,574 字 · 38 页

青空文庫

五

、いじけた姿が、ほとんど目に入らないほど、きれいな花の間に混じっているのを悲しく、恥ずかしく感じました。

「ここに咲いている花は、みんなどこからきたのですか。」と、とこなつの花は、みつばちにたずねました。

「西の国からも、南の国からも、また、海のあちらの熱帯の島からもきた。種子や、苗を船に乗せて、人が持ってきたのだ。」と、みつばちは答えました。

とこなつの花は、考えに沈みました。そして、あの高原の自分のそばにあった黙った石や、また自分のいるところから、あちらにあった脊の高い草の姿などを思い浮かべて、いまはそれすらなつかしく思ったのです。

五

もはや、花は冷たい霧にぬれて、しずくの滴る美しい、なやましげな姿を自ら見ることもなく、また、黄昏がた、高い山脈のかなたのうす明るい雲切れのした空を憧れる悲しい思いもなくなって、その高原に生まれた花は、まったく、平凡な花に化してしまいました。

ひとり、この花ばかりでなしに、諸国からここに集められた、それらの珍しい花々も、みんな特色を失って、一様に街頭から風に送られてくるほこりを頭から浴びて、葉の面が白くなっていました。