轻松读懂日语经典作品
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しょや
初夜
山本 周五郎
「週刊朝日春季増刊号」朝日新聞社、1954(昭和29)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,384 字 · 35 页
読経が終り、焼香が済んだとき、市松はもう母の膝で居眠りを始めた。いつきはその子の肩を袖で包みながら、初めて代二郎に話しかけた。七日まえに脇屋家へ来てから、口をきくのはそれが初めてであった。僧たちはすでに去ったが、本堂の須弥壇には灯が明るく、大きな香炉からは、香の煙がまだ濃くたちのぼっていた。
「わたくし残念です」といつきは云った、「――あなたのなされかたは道理にかなっているかもしれません、けれどわたくしは、除村を男らしく死なせてやりとうございました」
「男らしくですって」
「除村は思い切ったのです」といつきは云った、「――侍の義理も名も捨て、妻子もろとも斬り死にをしよう、そう思い切ったのです、男がそこまで思い切ったものを、どうして望みどおりに死なせてやって下さらなかったのですか」
「なるほど、その意味ですか」
代二郎はちょっと当惑した。いかにもいつきらしいが、そういう苦情をそんなにはっきり、しかも面と向って云われようとは思いがけなかった。
「しかし私はこう思うのです」代二郎は云った、「――彼が小森を斬ったのはどこまでも藩の安泰を守るためで、決して破壊するのが目的ではなかったでしょう、彼が小森を斬ってくれた、その決断があったからこそ、私があと始末を買って出たのだし、その始末もうまくいったので、これはみな彼の男らしい