轻松读懂日语经典作品
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しょや
初夜
山本 周五郎
「週刊朝日春季増刊号」朝日新聞社、1954(昭和29)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,384 字 · 35 页
七
に些かでも胡乱があれば、検視役たる御両名が帰られる筈はありません」
代二郎はこう云い切って、相変らず平然と面をあげていた。右京亮の拳は(脇息の上で)わなわなと震えていた。彼は刺すような眼で代二郎を睨みながら、叱咤の言葉に詰ったようであった。代二郎は静かに低頭し、ずっとさがってから染谷と岡安の二人を見た。
「御老職おふた方に一言申上げます」と云った、「――除村久良馬は存念を残しております、藩家の危急が打開され、万事安泰となるまでは死にきれますまい、また、われら家臣一統も彼の存念の残るところを忘れは致しません、そのことをよくよくお含み下さるよう、お願い申しておきます」
そして右京亮に向って平伏した。右京亮は憤然と立ち、黙ってさっさと奥へ去った。二人の小姓が(一人は刀を取って捧げながら)そのあとを追った。
七
久良馬の初七日に当る夜、玉林寺でひそかに法事が行われた。まだ世間を憚るので、参会したのは遺族母子と代二郎夫妻、その他には一人も呼ばなかった。玉林寺では(亡父と親しかった)浣石和尚が健在であった。和尚は右京亮の不興を承知の上で、久良馬の遺骸を引受けてくれたし、その夜の法事にも脇僧五人のさきに立って、自ら供養の導師を勤めてくれた。