轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なんろ

南路

宮本 百合子

「太陽」1922(大正11)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,813 字 · 63 页

青空文庫

或は、死ぬまで、死ぬことを忘れて、深い、愕(おどろ)き怪しみ、考えても考えても判らない憂鬱に噛まれているといった方がよいのかもしれない。

そういう恐ろしい集注、力の凝結が、一旦平和によって解放されたときを想うと、嬉しいというより先に息の塞がる思いがする。

一どきに撥ねかえった精力や熱中や、あらゆる場合に自分の生きている力を試したい活力が、彼等を狂暴にさえする。

戦時の、いい難く深い陰鬱や、惨虐な記憶を洗い去るには、それと同量の情熱が必要なのではないだろうか。大抵の場合、彼等は夢中で恋をする。

今度の欧州戦乱で、英国フランス白耳義(ベルギー)その他から“War bride”として紐育の埠頭に著いた婦人の靴だけでも、夥しいものであった。

デスペレートな点では、女性も同様であったのだと思う。彼女等は、殆ど皆胸に当歳の嬰児を抱き、粗末な風で甲板に並び、愛嬌の微笑と動揺する不安とを外国人らしい瞳の裡に湛えながら、写真にとられているのである。或る場合、人間のする恋は、環境と動機の悲痛さから、眼もあてられない感を起させる。

――もちろん、彼の若い母が、仏国から来た人でないことだけは、顔の様子でも明に分っている。