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ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页

青空文庫

父上が出て来られる。この機会を、先人の知らなかった方法で利用しよう。自分は、その人をルスタムと確め、いつかの頸飾りを見せさえすればよい。恐ろしい戦場は、忽ち、歓呼の声に満ちた、親子の対面の場所となるのだ」

スーラーブの目前の薄暗がりの中には、その場の光景が、明るく、活々と一つの小さい絵のように浮み上った。思いがけない頸飾りを手にとり、愕き、歓び、言葉を失って、自分を見るだろう父。その頭を被う兜の形から、瞳の色まで、ついそこに見えているようだ。自分は何として、その悦び、感謝を表すか。その時こそ、命は父のものだ。力を合わせ、アフラシャブを逆襲するか、或は王に価しないカーウスをイランから追うか、父の一言に従おう。彼としては、恥なき息子として、父ルスタムに受け入れられるだけでもう充分の歓びなのであった。

十八

感動? やや空想的すぎる火花が納まると、スーラーブは、一層頭を引きしめ、心を据えて、種々、重大な実際問題を考究し始めた。事実、幾千かの人間を動かし、小さくてもサアンガン一領土を賭してかかると思えば容易でない。然し、計画は、充分肥立って孵(かえ)った梟の子のように、夜の間にどんどん育った。