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ひまわりのめ
向日葵の眼
野村 胡堂
「少女倶楽部」1929(昭和4)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,919 字 · 18 页
四 向日葵の謎
「向日葵に眼を与えよ――、これだこれだ」
香椎六郎は思わず飛上りました。
「叔父さん、眼を与えよって何?」
「それだよ、その眼が解れば、謎はわけもなく解けるんだ――待て待てもっと明るくして見よう」
壁に垂れている綱を引くと、天井硝子の下へ張った幕は引かれて、真昼の烈しい光線が、カッと床の上へ落ちます。
「向日葵に眼を与えよ、――向日葵に眼を与えよ――」
香椎六郎は歌のように節を付けながら口ずさんで、向日葵の彫物の真ん中の穴へ手を入れましたが、手は真鍮板らしい金属に遮られて、いくらも深くは入りません。
「麗子さん、大きい凸レンズは無いでしょうか、――虫眼鏡ですよ、――余程大きいのでないといけないが――」
「ありましたワ」
麗子は卓の抽出を抜いて見ましたら、其処は綺麗に空っぽにされて、紙片一つ残っては居りません。
「階下へ行って持って来ましょう。此処になければ、お父様の書斎にあったようですから」
出口の扉へ手をかけましたが、防火のため、薄い鉄板を張った頑丈な扉が、いつの間にやら、内側から鍵を掛けられたものと見えて、ピクとも動きません。
四 向日葵の謎
「チョッ」
麗子に代って、暫く扉を動かしていた香椎六郎は、とうとうあきらめて手を放してしまいました。