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ひまわりのめ
向日葵の眼
野村 胡堂
「少女倶楽部」1929(昭和4)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,919 字 · 18 页
三 香椎六郎
どうしてこんなに向日葵ばかり集めたのかわかりませんが、兎に角、これだけ向日葵が沢山あると、どれに眼を与えていいのか、加奈子には少しも見当がつきません。
家の中をぐるぐる一と廻りすると、紺野という助手と、その仲間の者でしょう、彼方此方を叩き廻ったり探し廻ったりしながら、二人の少女を険悪な眼で、ジロリジロリと眺め廻しております。「紺野が怪しい」と加奈子は咄嗟に思いつきました。
「麗子さん、今晩は私の家へ行って泊りましょうよ」
「そうさして下さると、どんなに嬉しいでしょう」
「後は構わないでしょうか」
「ええ、どうせ私がいてもいなくても同じことなんですから――」
二人はそのまま連れ立って、夕暮れの街を電車へ急ぎました。
三 香椎六郎
二人の少女から、詳しい話を聞いた加奈子の母親は、どんなに驚いたことでしょう。
「まア、可哀相にネ、どんなに悲しかったでしょう」
と我が子のように麗子を慰めます。其処へやって来たのは加奈子の母親の弟で、加奈子には叔父さんに当る、探偵好きの若い理学士香椎六郎でした。
「何? 松井博士のお嬢さん、――松井博士なら僕の大学にいる頃の先生だよ、それは捨てて置けない。