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てつがくのげんだいてきいぎ

哲学の現代的意義

戸坂 潤

「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页

青空文庫

之は疑いもなくマルクス主義的社会科学と唯物論哲学との賜物である。それまでは思想の科学としての哲学などは殆んど無かったと云っていい。黎明会的な啓蒙運動としての批判主義哲学や文化哲学が、その地ならしをした。そして夫が新人会的な活動へと発展した。常識と民衆の道徳意識はここで初めて科学の対象となった。思想の科学とその対象とが発生した。

だがこの関係は、云うまでもなく単に常識や道徳という云わば内部的思想の動きだけを示すものではない。それは同時に或る客観的な、文化的思想と直接に連関している。というのは、社会科学・文化科学・又自然科学と云ったような諸科学、それから文芸其の他の諸芸術、との連関なしには、この常識も道徳も科学的な処理を受けることは出来なかった。之を逆に云えば、この時初めて諸科学が民衆の社会的常識や道徳意識に決定的影響を有つようになったのであり、芸術も亦初めて自覚した形で而も組織的な姿で、民衆の常識と道徳とを左右する力を持つに至ったのだ。科学と芸術との大衆化という課題が、この時初めて日程に上ることが出来た。思想の科学がとに角発見されたからである。――思想の科学は、常識や道徳という内部的思想材料を、科学や芸術という文化的思想建築物へ媒介した。