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てつがくのげんだいてきいぎ

哲学の現代的意義

戸坂 潤

「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页

青空文庫

その結果はエーテルの非存在として現われる。ではエーテルはないのか。実はそういうものがあろうと無かろうと問題ではない。エーテルというカテゴリーを変革することが必要なのである。かくてエーテルという範疇は歴史的に変革されそして他のカテゴリーへ移行する。処でこうした歴史的に変遷して行くカテゴリーは、一体思想の一片でなぜないのか。重力はどうか。引力はどうか。之は勿論常識用語からの借り言葉だ。併しそういう観念を用いながら之を淘汰して行くのでなければ、理論も不可能なら実験の一切も無意味となる。そういうものがあるから、初めて科学的な世界像も出来れば科学的世界観も出て来るのである。

自然科学の思想的本質に気づくための最も確実な試みは、自然科学の歴史的発展の模様を見ることだ。それは思想の発達史なのだ。自然科学は階級性からも民族性からも独立なものだ、というようなことが自然科学専門家によって大いに唱えられている。科学の民族性に対する反駁は最近の課題であるが、之をその階級性と並べて拒けるその拒け方は、しばらく前からの古いやり方の蒸し返しに過ぎぬ。一体文化の民族性と階級性とを同列に並べるということがお粗末な思索なのだが、それは別としても、科学の階級性というようなことを唱えるのが政治的に必要だというなら、吾々自然科学の専門家はそんな