轻松读懂日语经典作品
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うそアつかねえ
嘘アつかねえ
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1950(昭和25)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,523 字 · 24 页
爺さんはいつもの調子で、なにか洗いながら、ええまあ、などとあいまいな返辞しかしなかった。
それから秋までに三度ばかり松と顔が合った。そして話しかけられて口をきくようになったが、彼の話題はいつも必ず、「女は殴りつけて蹴とばすに限る」というところへおちた。物価の高いことや、幕府の政治の悪いこと、老中の誰某はどうだとか、世間の風儀が紊れるばかりだとか。そういう飲屋の客に共通した社会批評が、しまいには定ってそこへおちるのである。
「旦那なんぞはあまそうだな、うん、隠したってちゃあんとわからあ、顔のね、ここんところとここんところがね、へっ、おらあ嘘アつかねえ、だめだよ旦那ア、あめえあめえ、そんなこッちゃあね、一家てもなア立ちあしねえんだよ」そしてぐっと細い眼を剥くのであった、「――女ッてえやつアね、がみがみどなってあばれるにしろ、温和しそうにはいはいと猫をかぶッてるにしろ、どっちみち男に轡を噛ませて、手綱をしばって、けつッぺたを鞭でぴしゃぴしゃ叩くもんなんだ、稼げ稼げッてよ、……稼げ、稼げ、……旦那はなんの商売かおらあ知らねえ、けれども理屈にゃア変りはねえと思うんだ、人間同志ならそこはわかって呉れると思うんだ。