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こくさいさつじんだんのほうかい
国際殺人団の崩壊
海野 十三
「新青年」1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,767 字 · 31 页
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犯人は我国毒瓦斯学の権威椋島才一郎」などと、昨夜の大事件を書きたて、彼の現場に於ける奇怪な行動や、精密な機械類の写真などが載った。帝都は鼎の湧くがように騒ぎ立ち、椋島が収容せられたという市ヶ谷刑務所へは、「椋島を国民に引渡せ」というリンチ隊が、あとからあとへと、入りかわり立ちかわり押しかけては、時代逆行の珍現象を呈した。それを鎮撫するのに、陸軍大臣に麻布第三連隊に総動員を命ずるという前代未聞の大騒ぎが起ったのであった。
しかし、新聞紙面には、曩に行方不明になった松ヶ谷学士や、家出をした鬼村真弓子のことについては、一行も報道していなかったばかりではなく、昨夜、活躍したおキミの消息も、それから又おキミの信号により、硝子窓の破壊に従事した人物についても、何の報道もしていなかった。
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それから約一ヶ月の月日が流れた。
あの事件を最後の幕として、科学者虐殺事件は其後まったく起らなくなった。椋島技師の犯行は、愈々明白となって死刑の判決が下り、その刑日もいよいよ数日のちに近付いた。世間は、反動的に静かになり、東京市民は、めっきり暖くなった来る朝来る朝を、長々しい欠伸まじりで礼讃しあった。