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とさのくにばしら

土佐の国柱

山本 周五郎

「読物文庫」1940(昭和15)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,375 字 · 35 页

青空文庫

三

……そして斧兵衛の主張がうやむやの内に通ってしまい、彼の若者は間もなく無事に解放された。

三

※(歌記号、1-3-28)……殿のお馬は蘆毛にて、緋羅紗の鞍おき

とりひろげ、鳥刺毛、御陣場とおく、見てあれば。

「やんや、やんや」

「うまいぞ小弥太、起って舞え」

「若衆ぶりを妓どもに見せてやれ」

十四五人の若い武士たちが手を拍って囃すのに応えて、池藤小弥太がひょろひょろと立ちあがった。

「それでは舞うぞ」

「白い股見するなよ、妓どもが気を失うでな」

髭の貫島十郎左が、どら声をあげると、

「まあ、仰有ること」

「憎い髭十さま」

「性をつけてやりましょう」

浦戸から呼ばれて来た妓たちは、きゃらきゃらと嬌声をあげながら、十郎左を小突き廻した……みんな酔っているし、城下を離れた気安さから、袴を投げ、肌を脱ぎ、思うさま羽目を外していた。

小弥太はよろよろと立ちあがり、

「よいか、舞うぞ」

もういちど云って大剣を抜くと、よく澄んだ声で、平家を朗詠しながら舞いはじめた。……忠度最期の条である。

『忠度は西の手の大将にておわしけるが』より始って、岡部の六弥太と組討ちになる。

『……薩摩守は、聞ゆる熊野そだちの大力、屈竟の早業にておわしければ、六弥太をつかみて、憎い奴が味方ぞと……』