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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「おお黒馬博士。余は、博士に謝罪をするものである」

提督は、私の顔を見て、黒馬博士だと悟ったのだ――そんなに愕かれる程の私でもないが……。

「おお黒馬博士。余は博士が、四次元の世界に跳躍せられる力があるとは、想像していなかった。先程からの非礼をことごとく詫びる。そして……」

提督は、ひとりで喋った。

「そして、余は、黒馬博士と識るを得たことを悦ぶ者である。そこで博士よ。余は突然ながら、折入って博士に相談したいことがある。その内容を、はっきりというならば、博士よ、余にその四次元世界への跳躍術をコーチしてくださるまいか。そのために、余はアメリカに有する七千万ドルの財産を、すべて博士に贈ることを、ここに誓う者である。どうです。さあ、イエスと返事をしてください」

提督は、勘ちがいをしている。X大使にねだるべきことを、私に訴えているのだ。

もちろん私は、提督の願いを一蹴した。すると提督は、私の真意を勘ちがいして、更に歎願するのであった。

そのとき、私の耳許に、囁いた声があった。

「黒馬博士。ピース提督に、こう云ってみたまえ。“では提督は今直ちに立って、欧弗同盟国軍に対して、砲門を開くだけの決心があるか”と……」