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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「それで、私とわが艇とを、敵の手から放して貰いたい」

「よろしい。そんなことはわけなしだ。君は、望遠鏡で鎖を見ていたまえ」

X大使がそういったので、私は急いで、望遠鏡に目をあてた。

「いいかね。鎖は今、ばらばらに切れてしまうだろう」

大使の声が終るか終らないうちに、不思議なことが起った。二本の鎖が、ぷつんと切れた。その鎖は、わが艇の舳に懸っていたものであったから、鎖の切れた瞬間に、わが艇は、ぐらっと前にのめった。

つづいて、胴中に懸っていた五、六本の鎖が、まるで紙撚りが水にぬれて切断するかのように、ぷつんぷつんと切れた。わが艇は、舳を下にして、真逆さまになった。

最後に、尾部に懸っていた二本の鎖が切れて、四本の鎖となって、びーんと跳ねあがった。

「深度四十、四十二、四十四、……」

オルガ姫の声は、忙しい。

「ありがたい。敵の手を放れた!」

私は、躍り上りたいくらいの悦びを感じた。

「エンジンをかけろ。深度五十で喰いとめろ」

私は、つづいて命令を発した。

「エンジン、駄目です。故障を起していて、もうかかりません」

オルガ姫が叫ぶ。

「ええっ、エンジンが駄目か。それは弱った。