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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

X大使の不思議な力は、幾何学を超越している。

「オルガ姫、出入口の扉をあけろ」

「はい」

扉は、あいた。扉の向うには、太い鋼管で出来た通路が見える。なるほど、たしかに三角暗礁へ戻ってきたのである。私は、X大使の不思議な力に対する検討はあとのことにし、オルガ姫を促して、通路を伝わって内部へ入った。

私は、なによりも、執務室へ飛びこんで、机の上にあった「三角暗礁日記」の頁を繰った。

「ほう、これは愕いた」

頁の上には、たしかに私が書き残して置いた日記文があった。間違いなく、私は三角暗礁へ戻ってきたのだ。だが、私の日記文のあとに、もう一行、私の筆跡でない記事が書きつけられてあった。

“○月○日、黒馬博士艇は、X大使の救助をうけて、破損せる艇もろとも、この三角暗礁へ帰還せり”

私は、うーむと、唸った。

旗艦ユーダ号――ピース提督を訪問せよ

後で思い出しても、そのとき私は、さもしい気を起したものだと、冷汗が流れるのだが、日記のうえの、X大使の記事を見ると、私はついむらむらと不快な気分になった。そこで私は、ペンを取り上げて、日記の頁に向った。

「おい、黒馬博士。待ちたまえ」