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あおいはらふじんのたいつり
垢石釣游記
佐藤 垢石
佐藤垢石『垢石釣游記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:葵原夫人の鯛釣、青鱚脚立釣、秋の鮎、蛙を食う岩魚、河鱸遡上一考、鯨を釣る、小鰺釣、さしみ、戦場ヶ原の渓谷、早春の山女魚、釣聖伝、釣場の研究、弟子自慢、道具と餌と天候、アンコウの味、夏釣日記、冬の鯊釣、夜の黒鯛、ガラガラ釣。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,298 字 · 100 页
そのとき私は、山女魚釣の竿や道具を持って行ったから、金峰山の中腹から流れ落ちる塩川を漁ってみた。そこで私は、井伏君に餌とりをやって貰ったのだ。井伏君は上背が低い上に、小肥りに肥って色白であるから、豚の子のようにからだの恰好がころころとしている。それが大きなお尻を宙へ向けて川瀬のなかで四ツン這いとなり、餌の川虫をとるために底石を剥がし這いまわるのであったから、その気の毒なほどおかしな眺めに思わず噴き出したのであった。
だが、ラジューム温泉の食いものがあまりに粗末なのに辟易して、碌に山女魚も釣らないで二人はそこを逃げ出したのだが、帰り途に相模川の与瀬で私は鮎釣をやり、井伏君には鮠釣を教えたのだ。ところで井伏君は運よくも、そこで十二、三尾の鮠を釣ったのであるけれども、どう言うものか井伏君は釣に興を感ぜぬらしい。
その後屡々井伏君とは会うのだが、井伏君は釣の話を口にしたことがないのである。却って私はそれを、世話儲けが減ったと思って喜んでいた。ところが図らずも、井伏君から今回のような手紙である。鮎釣に志したとあらば、棄てては置けない。一番、大いに指導してみよう、と言う師匠心が湧いて速達郵便となった次第である。