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あおいはらふじんのたいつり

垢石釣游記

佐藤 垢石

佐藤垢石『垢石釣游記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:葵原夫人の鯛釣、青鱚脚立釣、秋の鮎、蛙を食う岩魚、河鱸遡上一考、鯨を釣る、小鰺釣、さしみ、戦場ヶ原の渓谷、早春の山女魚、釣聖伝、釣場の研究、弟子自慢、道具と餌と天候、アンコウの味、夏釣日記、冬の鯊釣、夜の黒鯛、ガラガラ釣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,298 字 · 100 页

青空文庫

弟子自慢

私に、どこかうまい釣場へ連れて行ってくれと申し込んでくる人があると、私はその人を自分の弟子の数のうちへ勘定する。だから私に師匠顔されるのを嫌だと思う人は、私のところへ同行を申し込んでこない方がいい。

しかし、そうであるからと言って、無闇に私は先生顔をする訳ではないのである。君、僕は人に釣方を教えたり、うまい釣場へ案内したりする程釣は上手じゃないのだよ、誤解しちゃ困る。釣は一生の研究だ。これから、一緒に研究しようじゃないかと謙遜するのが常である。だが、うまく教え込んでやろうと思うのだ。そして、また一人弟子が殖えたかと思って、内心ほくほくする。

一昨年九月のはじめに一人弟子がふえた。その新弟子は、小説家の井伏鱒二君である。私が、明日の夜汽車で甲州の富士川へ鮎の友釣に行こうと考えて、竿や背負袋などの整理をしていると久し振りで井伏君から手紙がきた。

文面に、自分はこの夏から鮎釣をはじめたけれど、それは要するに自己流であるから、まだその妙味を会得できない。ところで、これから正式に鮎釣の法を習いたいから、機会があったら、どこかうまい釣場へ連れて行って貰い度いと書いてある。