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かいとのはなし

垣内の話

柳田 国男

「民間伝承十二卷八・九號」1948(昭和23)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,985 字 · 14 页

青空文庫

つまりはある一つの時代を経てから後も、土地の事情によってさらに次々の成長をしていると見るのでなければ、証明のできない変化がいろいろと起っているのである。『上毛の民俗』の最近の活字号に、列挙せられた記事などは好い例であった。群馬県は各郡にカイトという地域名が多く、ことに赤城山の周囲にあるものは注意せられているが、甲の村では畠地の間に挟まった水田の一区がカイトであり、乙の村ではそれと反対に、まわりが水田ばかりの中にやや小高い一かたまりの桑畠、すなわち久しく付属草地として開かれずにいたらしい土地だけがカイトである。そうかと思うと、また一つの村には田畠と農家の二三戸を合せたカイトがあるのみか別にまた山間未開の家も田畠もないカイトも一方にはあって、単に土地の一区劃の名と、いうより以上には定義し得られない現在の状態である。竹田君が近頃討査した、甲州西山の奈良田などでは、ただ常畠の所在だけがカイトで、それは民居の外であり、田はその中に含まれず、新たに切り添えられた切替畑もまたカイトとは区別せられている。しかも隣の下湯島の方には、家の屋号の何垣内も一つあると言う。