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かわる

変る

豊島 与志雄

「知性」1942(昭和17)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,972 字 · 14 页

青空文庫

こんなことで、東亜の大戦争がよく出来たもんですな。」

「そこが日本人のたしなみというものでしょうよ。そのたしなみがあってこそ、本当の勇ましい戦争も出来る。私などはそう考えますよ。」

「たしなみ……なるほど、そうかも知れないが、満洲では、一般にもっと元気ですぜ。飲むにも食うにも、笑うにも、話をするにも、こんな火の消えたような調子じゃありませんな。」

そこへ、皿の物や銚子が運ばれてきた。村井が春枝になにか耳打ちすると、やがて、サントリーのウイスキー瓶まで持出された。

大五郎は顔の厚い皮膚をほころばした。そして満洲のことを論じだし、日本にとって満洲が如何に重要な地位を占むるかを説きたて、而も日本人一般が、南方にばかり心を向けて、満洲のことを忘れるようなのを、慨歎し初めたのである。

「分りました。」

ぷつりと村井は話の腰を折った。

「だが、あなたは一つ考え落してることがありますよ。満洲は現在、謂わば銃後の土地でしょう。われわれは皆、前線の戦地のことを考えてるのです。満洲がもし前線となったら、その時には、お望み通り、皆が皆、満洲のことを考えるようになりますよ。」

「それがいけないんだ。