轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なつくさせんき
夏草戦記
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1943(昭和18)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,107 字 · 41 页
……父は頭と背中にひどい怪我をしておりました。御家来の方はその手当をしてくださいましたうえ、なおお持ちになっていたお薬をも置いていってくださいましたが、父は年もとっていますしからだも弱っていましたためか、その夜明けちかくにはかなくなってしまいました」
娘は朝になるのを待って、付近の農家の者に助力をたのんだ。人々はすぐに集って来てくれた、寺から僧も来た、そして見知らぬ土地とは思えない心の籠った荼毘がおこなわれて、父親は一片の骨となった。
「あの包みが父の遺骨でございます」初はそっと眼がしらを押えながらつづけた、「その村の人たちはしきりにひき留めてくれましたけれど、わたくしは一日も早く故郷へ帰りたいと存じまして、ふり切るようにして立って来たのでございます」
「それはまことにきのどくなことだ」部将はいたましそうになんどもうなずいたが、「しかし故郷へ帰るのに、どうしてこんなところまで追って来たのか」
「はいそれは」云いかけて娘はしばらく口籠るようすだったが、すぐ思いきったという調子で、「それはあの、助けて頂いた御家来の方にお会い申して、そのときのお礼やら、父の最期のもようをお話し申上げたいと存じました、そしてそのうえで、もしおゆるしがかないましたなら、御荷駄のあとに跟いてゆかせて頂けますようお願い申したいと存じまして