轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

04 第二部下

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页

青空文庫

その彼の耐えに耐えた激情が一時に堰を切って、日ごろ慕い奉る帝が行幸の御道筋にあふれてしまった。こうすればこうなるぞと考えてしたことではなく、また、考えてできるような行ないではもとよりない。ほとばしり出る自分がそこにあるのみだった。

二

身祝いにと多吉夫婦が勧めてくれた酒に入檻中の疲労を引き出されて、翌朝半蔵はおそくまで二階に休んでいた。上京以来早朝の水垢離を執ることを怠らなかった彼も、その朝ばかりはぐっすり寝てしまって、宿の亭主が茅場町の店へ勤めに通う時の来たことも知らなかった。ゆうべの雨は揚がって、町のほこりも洗われ、向かい側にある家々の戸袋もかわきかけるころに、下女が二階の雨戸を繰ろうとして階下から登って来て見る時になっても、まだ彼は大いびきだ。この彼がようやく寝床からはい出して、五日ばかりも留守にした部屋のなかを見回した時は、もはや日が畳の上までさして来ていた。

「お前の内部には、いったい、何事が起こったのか。」

ある人はそう言って半蔵に尋ねるかもしれない。入檻に、裁判所送りに、宿預けに、その日からの謹慎に――これらはみな彼の献扇から生じて来た思いがけない光景である。