轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
04 第二部下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页
第十章
見ると、お粂がいない。それから家のものが騒ぎ出して、半蔵と佐吉とは提灯つけながら土蔵の方へ急いだ。おまんも、お民もそのあとに続いた。暗い土蔵の二階、二つ並べた古い長持のそばに倒れていたのは他のものでもなかった。自害を企てた娘お粂がそこに見いだされた。
第十章
一
青山の家に起こった悲劇は狭い馬籠の町内へ知れ渡らずにはいなかった。馬籠は飲用水に乏しい土地柄であるが、そのかわり、奥山の方にはこうした山地でなければ得られないような、たまやかな水がわく。樋を通して呼んである水は共同の水槽のところでくめる。そこにあふれる山の泉のすずしさ。深い掘り井戸でも家に持たないかぎりのものは、女でも天秤棒を肩にかけ、手桶をかついで、そこから水を運ばねばならぬ。南側の町裏に当たる崖下の位置に、静かな細道に添い、杉や榎の木の影を落としているあたりは、水くみの女どもが集まる場所で、町内の出来事はその隠れた位置で手に取るようにわかった。
うわさは実にとりどりであった。あるものは旧本陣の娘のことをその夜のうちに知ったと言い、あるものは翌朝になって知ったと言う。