轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

04 第二部下

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页

青空文庫

燃えるような冒険心を抱いて江戸の征服を夢み、遠く西海の果てから進出して来た一騎当千の豪傑連ですら、追い追いの粋な風に吹かれては、都の女の俘虜となるものも多かった。一方には当時諷刺と諧謔とで聞こえた仮名垣魯文のような作者があって、すこぶるトボケた調子で、この世相をたくみな戯文に描き出して見せていた。多吉が半蔵にも読んで見よと言って、下座敷から持って来て貸してくれた『阿愚楽鍋』、一名牛店雑談にはこんな一節もある。

「方今の形勢では、洋学でなけりゃア、夜は明けねえヨ。」

これは開化の魁たる牛店を背景に、作者が作中人物の一人をして言わせた会話の中の文句である。どんな人物の口からこんな文句が出るかというに、にわか散切りの西洋ごしらえ、フランスじこみのマンテルにイギリスのチョッキを着け、しかもそれは柳原あたりの朝市で買い集めた洋服であり、時計はくさりばかりぶらさげて、外見をつくろおうとする男とある。おのれ一人が文明人という顔つきで、『世界国尽』などをちょっと口元ばかりのぞいて見た知識を振り回し、西洋のことならなんでも来いと言い触らすこまりものだともある。おもて華やかに、うらの貧しいこんな文明人はついそこいらの牛店にもすわり込んで、肉鍋と冷酒とを前に、気焔をあげているという時だ。