轻松读懂日语经典作品
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ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
――黙子覚書――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页
二階には宴会の席が設けられてある。十畳の間である。
もとよりゴブランではないが、大層もない外国輸入の絨毯がその十畳の間に敷きつめてあった。田舎出の役人の家としてはちと出来すぎたようである。冷やかな観察者があれば、傍からそんな皮肉な口をきかぬでもなかったろう。父とすれば考えた上でのことでなく、新築祝の設備としてだけの意味しかなかったにちがいない。そんな新奇な装飾品が当時流行しかけていた。父の負けじ魂の性癖から、一時の物として、つい奮発することになったのだろう。果してこの異国の花卉を浮織にした絨毯はその後あまり役に立ったとは見えなかった。
宴会の当日は、明治初年以来父が世話になった上官やら先輩やらの知名の人々を招待した。大抵は同藩の出身者である。酒席のとりなしには新橋の名うての妓を選んで、舞子も来ている。幾つも立てた燭台には真白な舶来の西洋蝋がともされる。その夜美形らが何を歌い何を踊ったか、それを鶴見は記憶していない。ただ綺麗に着飾った舞子に目をつけている。これも鶴見がそれを記憶しているのではなかった。端のものがそういって、あとから幾度も冷やかすのである。