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たいしかんのしまつきかん

大使館の始末機関

海野 十三

――金博士シリーズ・7――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

「王老師、壁に穴があきましたよ。人体の形をした穴です」

「何じゃ」

「そして金の奴の姿が見えませんぞ。あっ、あの穴から、部屋の中をのぞいています。王老師、金は自分の身体で壁をぶちぬき、無事に廊下にとびだして、部屋の中をじろじろみているのですよ。可哀そうに死んだかも何もあるものですか」

「ふーん、これは想像に絶して、あの金博士め、手硬い奴じゃ」

この某国大使館の、いろいろある始末機関をそれからそれへと動員して使ってみたが、どういうわけか、たった一人の博士を片附けることは仲々容易に成功しなかった。

「王老師、どうしてくれる」

「待て、せっかちな!」

今や醤買石と王老師の間柄は、湯気の出るほど切迫していた。

「もう一つ、やってみることがある。これなら、きっとうまくいく」

「どうだかなあ、信用は出来ん」

「いや、これは確実だ。火薬炉の中につきおとして密閉し、電熱のスイッチを入れて、じゅうじゅう焼いてしまうのだ」

「本当にそのとおりいくのなら、大したものだが……」

「きっとうまくいく。さあ見て居れ。今、金博士が、あの廊下の角を曲ると、とたんに床が外れて、金の身体は奈落へおちる。