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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

中里介山『大菩薩峠4』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 页

青空文庫

「恐れながら、家格の違いと仰せでござりまするが、あの伊太夫が家は、御承知の通り、葛原親王いらいの家柄と申すことでござりまする、それに権現様以前より苗字帯刀は御免、国主大名の系図にも劣らぬ家柄でござりまする故に、神尾家にとって釣合わぬ格式とは存じませぬ」

お絹は、こう言って能登守から、家格の相違ということを言われたのに弁解を試みました。

「いやいや、そのことではない。およそ旗本の家が縁組みをするには、同じ旗本のうちか、或いは大名の家よりするか、さもなき時はしかるべき仮親を立てるが定め、その辺は御承知でござりましょうな」

「それは……」

と言ってお絹は、ややあわてました。

「まだそれまでには運んでおらぬのでござりまする……」

お絹が、それについてなお何かを弁明しようとする、その言葉の鼻を押えるように、能登守が、

「左様ならば取敢ず、そのことをお取定めあってしかるべく存じまする」

と言ってしまいましたから、お絹は二の矢が次げないようになりました。

「御親切のお心添えを有難く存じまする、よく主膳にも申し聞けました上で……」

お絹はこう言って辞して帰るよりほかはありません。