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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

中里介山『大菩薩峠4』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 264,133 字 · 524 页

青空文庫

三

「ああ、わたしはいっそ、あなたにここで殺されてしまいたい」

「いつかそういう時もあろう、その帳面のいちばん終いへ、お前の名を書いて歳を入れずにおくがよい」

「ああ、わたしは地獄へ引き落されて行くのでございます」

「地獄の道づれがいやか」

「否と言っても応と言っても、こうなったからは仕方がございませぬ、わたしはどうしたらようございましょう」

「なんと言っても甲州の天地は狭いから、ともかくもこれから江戸へ行くのじゃ、おそらくお前は生涯、拙者の面倒を見なければなるまい」

「わたしは怖ろしくてたまりません、けれどもどうしてよいかわかりません、それでもわたしはあなたと離れようとは思いません」

「黙って拙者のすることを見ていてくれ」

「黙って見てはいられません、わたしもあなたと一緒に生きている間は、あなたのような悪人にならなければ、生きてはおられませぬ」

三

恵林寺の師家に慢心和尚というのがあります。

恵林寺が夢窓国師の開山であって、信玄の帰依の寺であり、柳沢甲斐守の菩提寺であるということ、信長がこの寺を焼いた時、例の快川国師が、

安禅必不須山水

滅却心頭火自涼

の偈を唱えて火中に入定したというような話は、有名な話であります。