轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
中里介山『大菩薩峠5』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 页
神尾主膳ほどの乱暴者でも、うっかり傍へ近寄れないのはそのせいでもあるが、お角の近寄れないのはそれだけではない。どこがどう強くって、どんなに怖いのだかわからないなりに、お角にとってはお銀様が苦手です。
お角はその絵本を見ると、お銀様の生霊がいちいちそれに乗りうつって、この薄暗い土蔵の二階の一間には、すべて陰深たる何かの呪いの気が立てこめているようで、怖ろしくてたまらないから、急いで絵の本を伏せて、梯子段の降り口にかかりました。
離れにいるお絹は、このごろでは、ずっと以前のように切髪に被布の姿で、行い澄ましておりました。母屋の方へは滅多に出入りしないけれども、どうしたものか、お角が来た時だけは、お絹の神経が過敏になります。今日もお角が訪ねて来たことを知って、
「また、あの女が来たようだから、お前、御苦労だが様子を見て来ておくれ」
と召使の女中に言いつけて出してやりました。そのあとへ、
「御新造、おいでか」
庭先から入り込んで来たのは、前に福兄と言った大奴であります。いつのまにか着物を着替えて若党の姿になり、脇差を差して刀を提げ、心安立てに縁から上って来ました。