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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

潜水服のところに、妙な縞模様がついていると思ったが、これは共産党大佐の徽章であったか。

太刀川あやうし

太刀川時夫は、海底にでることができたけれど、彼のきていた潜水服が、リーロフのものだったために、共産党大佐の縞模様がついていた。それをリーロフに見つけられたのである。

海の底であるから、陸上のようにすばやく、にげだすことはできない。海藻のかげにかくれたとしても、大だこの頭のような潜水兜からは、たえずぶくぶくと空気のあぶくが上にのぼってゆくので、すぐ敵にみつかってしまう。おまけに、リーロフ大佐のひきつれた潜水隊員の中には、水中機関銃などという水の中で、弾がとびだす兵器をもった奴がいるから、これでうたれればおしまいである。

「おい、みんな、そいつをいけどれ。そして潜水兜をぬがして、顔をみてやれ。そうすれば、先生め、きっとおもしろい顔をして、おれたちを喜ばせてくれるだろう。あっはっはっ」

リーロフは、まだ酒の酔いが、ぬけきらないためか、すこぶるごきげんであった。

だがこの深い海の底で、潜水兜をぬがされてはたまったものではない。せっかくここまで来たのにと思うと、太刀川の胸は、ざんねんさで、はりさけんばかりだった。