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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

快速艇をこっちへ呼んでくれ」

ケレンコの声に、太刀川は、やっと我にかえった。

恐竜戦隊の出動

「司令官閣下、どうぞ」

快速艇がくると、潜水服姿の太刀川は、リーロフの声色をつかって、こういった。ケレンコが、のりこむと、

「さあ、リーロフ。お前も早く」

とせきたてた。太刀川は、のりこみながら、

ふと思いだして、

「演習に出かけると知ったら、酒を五、六本持ってくるんだった」

と、わざと酒ずきのリーロフらしいことをいえば、ケレンコは、

「ふふふ」

と笑って、

「お前の潜水服の内がわには、酒びんをとりつけてあるときいたぞ。そんな仕掛をしてあるのに、酒とはへんだね。第一、酒びんをさげてきても、潜水服をきていたんでは、のもうにも、のめんじゃないか。リーロフにしては、また妙なことをいいだしたものじゃのう」

ケレンコの口ぶりには、どこか、皮肉なところがあった。

太刀川は、どきんとした。共産党随一のちえ者といわれるだけあって、これはゆだんがならぬぞと思ったのである。そういえば、この潜水服をきたときから、耳のうしろでどぶんどぶんと音のするものがあって、気になって仕方がなかった。