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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
これが、リーロフが特別にこしらえさせた酒びんかもしれない。
太刀川は、ふと鼻の先に、赤ん坊が口にくわえる牛乳の吸口みたいなものが、ぶら下っているのに気がついた。
(はて、これかな)
と思って彼は、その吸口みたいなものをすってみた。すると、どろんと口中にながれこんできた液体が、舌をぴりぴりとさした。そしてぷーんと、はげしい香が鼻をついた。
(あ、火酒だ!)
酒びんの中から、ゴム管でつながっていたのだ。それをケレンコが、知っていたのだ。たいていの者なら、このへんで、降参してしまうところかも知れない。が、わが太刀川青年は、腹の中でふんと、せせら笑っただけである。
「あははは、あははは。司令官閣下から御注意をうけるまでもなく、私の分だけなら、ここに十分もってきていますよ。あははは」
「うむ、じゃ、どうするつもりなんだ」
「つまりその、あなたがたが、のみたくなったときに、こまると思いましてね」
「なに」
「いや、今日の演習がおわるまでに、きっと、酒をのみたくなることが、できてきますよ。きっとそうなります。そのときに、私ばかりがのんでは、いやはやお気の毒さまで……」
それをきくと、ケレンコは、「ふふふ」