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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

今に他の艦が通りかかるだろう。――それより、あれはどうした。太――いや、リーロフ大佐は?」

「リーロフ大佐は、さっき艇から下り、前へまわって、故障をしらべていたようですが」

司令官ケレンコは、座席から立ちあがって、艇をでた。さいわい艇についている照明灯一つが、消えのこっているので、あたりは見える。

「おお司令官閣下」

とつぜん、ケレンコは、うしろからよびかけられた。

ふりかえってみると、リーロフ大佐の潜水服をきた太刀川が立っている。

「お、お前は無事じゃったか」

「はい。ごらんのとおり、だが、この艇はもうだめです。ただ今、無電をもって、別の艇をよんでおきました」

「ほう、それは手まわしのいいことだ」

とケレンコはうなずき、

「お前のいったとおり、こんな目にあうと知ったら、酒を用意してくるんだったね」

「いや、どうもお気の毒さまで……」

といっているとき、後方から、一隻の大きな潜水艦がやってきた。

それをみて、太刀川は、「おや」と思った。

「これは恐竜型潜水艦じゃないか。快速艇をたのんだつもりだったのに……」

潜水艦は、やがてケレンコたちのすぐそばへきて、とまった。