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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

ダン艇長は、あき樽のうしろにもぐりこんだ。そこには、カンナ島へのぼる鋼鉄階段があったが、その階段を、ダン艇長は落ちていた鉄棒で、力一ぱいなぐりつけた。

カン、カン、カン。――カン、カン、カン。

三点信号だ!

その信号は、はるか上のカンナ島の出口で、耳をすまして聞いている三浦と酋長ロロに通じたことであろう。

「さあ、もうぐずぐずしていられない。それ、始めよう」

太刀川は、はいだしてくると、用意してあった弁当箱二つほどの大ききの火薬の導火線に、火をつけた。

この火薬は、この海底要塞の様子をよく知っている石福海少年が、工事用の火薬置場から、もちだしたもので、導火線の長さは、時間にして、わずか十二分であった。

三人は、導火線があき樽のかげでぷすぷすともえ出すのをたしかめたのち、室外にとびだした。そして入口の扉をぴったりしめると、太刀川の身がわりにころがっている衛兵のポケットから、鍵をとりだして、ぴちんと錠までおろした。こうしておけば、誰も、導火線のもえるこの監禁室の中にはいれない。

「あと、十一分半だ! さあ、急ごう!」

太刀川は、ダンと石福海とをうながして、またくらい廊下をかけだした。