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じょせい

女婿

佐々木 邦

「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页

青空文庫

「妙子さん、何うかそんなことは仰有らないで下さい。有りもしないことをお富が真正にしますよ。女給のことなんか書いた覚えはないんですがね」

ともう日記を読まれたのを当然の成り行きと見做すようになった。人が好いから自由自在に操縦される。

「いゝえ、二度も三度も書いてありました。男性の親友は辻村さんで女性の親友はお仲さんね?」

「女給の話はもう止して下さい。ね、あやまります。カッフェへ行けば誰でも冗談ぐらい言うんですから」

「私、冗談なんか言って戴きたくないんです。あんな下等なものに」

と妙子さんは清之介君の手を払い退けた。

「はあ、もう決して申しません。それから辻村君のことですがね」

「辻村さんのことなら私聞くのも厭ですよ」

「まあ/\然う仰有らずに。辻村君はあなたに反対したんじゃないんです。唯支配人の令嬢というような地位の高い婦人よりは……」

「女給のお仲さんをお貰いなさいって忠告なすったんでしょう」

と妙子さんは受けつけない。清之介君は尚お二言三言弁解して黙ってしまった。

一時間ばかり後にお富が、これも会社の同僚で極く近しい木下君を取次いだ。

「久しぶりで大将のところへ御機嫌伺いに行ったのさ。