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ようかいがくこうぎ

妖怪学講義

井上 円了

02 緒言

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,679 字 · 35 页

青空文庫

理怪とはなにをいうや。無始の始より無終の終に至るまで、無限の限、無涯の涯の間に、飄然として浮かび塊然として懸かり、自生自存、独立独行、霊々活々の真体をいう。だれもその名を知らずして、その体あるを知る。その体あるを知るも、これに名付くるゆえんを知らず。けだしその体たるや、知るべきがごとくにして、しかして知るべからず、知るべからざるがごとくにして、しかして知るべし。これ実に大怪物なり。これを称して神妙、霊妙、微妙、高妙、玄妙というも、その体より発散せる光気の一部分を形容したるに過ぎず。あるいはこれを字して、老子は無名といい、孔子は天といい、あるいは易に太極といい、釈迦は真如といい法性といい仏といい、ヤソは天帝といい、わが国に神というも、みなその体の一面に与うる仮名に過ぎず。余はこれを理想と称するも、また一部分の形容のみ。だれか、よく有限性の名をもって無限性の体をあらわし得るや。むしろ、これを大怪物として名付けざるをよしとす。しからざれば、有限性の名称を階梯として、その裏面に包有せる無限性を感知領得することをつとむべし。

吾人、仰いで観、俯して察するときは、自然に一種高遠玄妙の感想を喚起す。