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つまのざ

妻の座

壺井 栄

「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页

青空文庫

はっきり理由も聞かない今、それは不当なことかも知れないと思いながら、野村を恨みたい気持が、どうしても納まらない。もういけないとは思うが、性急に閑子を引きとるというのも、二晩の休暇を一晩で帰ってゆく閑子の気持を思うと、考えなしには出来ないし、出来たとしてもそうなったら、閑子はどうするだろう。あの体裁屋ともいえるほど自尊心の強い閑子にとって、それは致命的なことにちがいない。もう半分はあきらめて、子供たちの母だといったあの気持は、容易にくだけそうにもないことを思うと、これは野村に、今一度頼むしかないと思えた。それが、どんなに野村にとって困ることであろうとも、閑子をこの境遇においた責任の一半は野村にもある筈だ。それに訴えるしか外に道がない。そう考えてミネはとび起きた。

――今日閑子にたのまれていました布団地を渡すとき、布団の話から、閑子が子供さんたちと一しょに寝ているという話を聞きました。これは大変なことではないかと、考えるのですが、どうか子供の母としての役目は昼だけにして、夜は妻の座に置いてやって下さい。こんなおせっかいを申上げますこと、きっと気をわるくなさるかも知れませんが、申上げずにいられない私の気持、おくみとり下さい。