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こどものじぶんのはなし

子供の時分の話

小川 未明

「おとぎの世界」1919(大正8)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,307 字 · 11 页

青空文庫

そして、だれかいっしょに遊ぶ友だちが出てこないものかと待っていました。

ある日のことです。私は、やはりこうして一人さびしく往来の上に立っていました。けれど、犬一ぴきその姿を見せなかったのです。ただ路の上には、なにか小さな石が日に照らされて光っていました。そして、とんぼが、かなたの圃の上を飛んでいるのが見えたばかりです。

私は、退屈でしようがなかったのです。このとき、遠くでチャルメラの音が聞こえました。私は、飛びたつように勇気づけられました。いくらそのおじいさんが無愛想でも、ずっと昔からこの村にくるので、まったくの顔なじみであったから、けっして他人のような気持ちがしなかった。そのそばへいって、屋台にさしてあるいろいろな色紙で造られた小旗の風になびくのを見たり、チャルメラの音を聞こうと思いました。また、きっとよそからも、友だちがそこへ集まってくるにちがいないと思ったので、私は、さっそく駆けだしました。

城跡のところにいきますと、いつもおじいさんが屋台を下ろす場所に屋台が置いてありました。そこからチャルメラの声が聞こえてきました。そして、今日はいつもより、紫色の紙の小旗がたくさんにちらちらと見えましたので、早く変わった光景をながめたいと走っていきました。