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うちゅうせんぺい
宇宙尖兵
海野 十三
「新青年」1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页
イレネは、そういい終ると、例の如く全く無口となって廻れ右をし、部屋を出ていこうとするので、僕は立ち上って、戸口に立ちはだかった。僕と一緒に、ベラン氏も同じことをやったのには愕いた。
「宣伝長。ちょっと待って貰いましょう」
「そうだ。用があるのだ」とベラン氏は僕を押しのけて前に出ると、「僕は宇宙の墓地に行きつく前に、本艇から下ろしてもらいます。これ以上、不信きわまる艇長と運命を共にすることは御免蒙りたい」
「まあ、ベラン氏」
イレネが何かいおうとしたが、その前にベラン夫人ミミが飛び出してきて、ベランの身体をうしろへ押し戻した。
「愛するミミ。おれはもう我慢ならないのだよ。このまえお前と協定したことはちゃんと憶えているが、今日のことは、あの協定の範囲外の出来事だ。おれは、やっぱり艇から下ろしてもらうのだ。おいイレネ女史。そういって艇長に伝えてもらおう」
ミミは、黙っている。イレネが何かいわねばならぬ番になった。
「艇長に伝えて置きましょう。しかしその決心を後で飜すようなことはないでしょうね」
「とんでもない。一刻も早く下ろして貰いましょう」
イレネは、僕の方へ目を向けた。