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たいわ

対話

宮本 百合子

「週刊朝日」1924(大正13)年1月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,561 字 · 18 页

青空文庫

――おや、あの木立もない広っぱに、大分かたまって蠢いていますね。

ミーダ 目に止まらずに恐ろしいのは俺の力だ。見ろ、慌てふためいた人間どもを、火が移ったら其ぎりの小舟や橋に集めて見せるぞ。落付いて身の振方はつけさせず、類で誘ない、数で誘って、危地へすらりとかたまらせる。――舷に手をかけ、救けを求める奴なぞは叩き沈めろ! 孕み女が転んだとて、容赦なんぞはいるもんか。

ヴィンダー ――ところで、妙な軍装の奴が現れたぞ。今のところでは俺の味方に廻って、壊しやの手先になって呉れる奴か、或は又逆に鉾を向けて、所謂文明の擁護をする奴か、一寸見分けがつかぬ。

ミーダ ふうむ。武器を持っている。血相もどうやら変っている。何を彼那に狙っているのか。……やったな。驚いた。俺さえ予定には入れていなかった此は一幕だ。――ついでに、一寸手を貸すかな。真実は根もない憎みや恐怖や、最大の名薬「夢中」を撒くと、同類の胸も平気で刺すから愉快なものだ。

ヴィンダー さてもう一息だ。俺の力の偉大さは、小さなものには著わされぬ。あの壮麗らしく人工の結晶を積みあげた街をつぶして呉れよう。斯う三叉でくじって、先ず屋体に罅を入らせる。