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たいわ

対話

宮本 百合子

「週刊朝日」1924(大正13)年1月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,561 字 · 18 页

青空文庫

天帝に媚びれば、仕事が殖えるとでも思っているなら愚の骨頂だ。

ミーダ ――……森としているなあ。何だか四辺ががらんとしすぎて、いつもなら聞えない第一天の物音が、つつぬけに耳の穴へ忍び込みそうだ。カラでも早く帰って来ればいいのに。

二神暫く沈黙。彼等の宮を支えている雲の柱が静に、流れ移ったり、照る光がうつろったりする。やがて

ヴィンダー ああ、つまらない。(欠伸をする)何と云う沈滞しきった有様だ。又この間のように面白いことでも起って呉れないかな。目が醒めるぜ。

ミーダ 人間のアーリアン族を大喧嘩させたことか?

ヴィンダー うむ。思っても溜飲が下る。目覚ましかったじゃあないか。俺達の仕事で彼処まで大仕掛けに成功したのは一寸ないね。そりゃあ、人間が今でも云い伝えているそうだが、あの若者のカインに、始めてアベルを殺させたのも手柄の一つには違いないが、規模の壮大さで比較にならぬ。

ミーダ 然し手間はかかったな。俺の一心を凝らした点から云えば、カインの仕事をやり遂げて以来、ずっと、あの大騒動の下拵えにかかり切っていたようなものだ。奴等の小屋が幸地続きだったから、幾分都合はよかったものの、蒔いた呪咀の種と、狂暴の酵母の多さ! 俺もよく破産しなかったものだ。