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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

03 小桜姫物語

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 页

青空文庫

『時節が来たら何れ良人にも逢えるであろう……。』そんな風にあっさり考えていたのでした。

右のような次第で、帰幽後随分永い間、私達夫婦は分れ分れになったきりでございました。むろん、これがすべての男女に共通のことなのか何うかは存じませぬ。これはただ私達がそうであったと申す丈のことで……。

そうする中に私は岩屋の修行場から、山の修行場に進み、やがて竜宮界の訪問も済んだ頃になりますと、私のような執着の強い婦女にも、幾分安心ができて来たらしいのが自覚されるようになりました。すると、こちらからは別に何ともお願いした訳でも何でもないのに、ある日突然神様から良人に逢わせてやると仰せられたのでございます。『そろそろ逢ってもよいであろう。汝の良人は汝よりもモー少し心の落付きができて来たようじゃ……。』指導役のお爺さんが、いとどまじめくさってそんなことを言われるので、私は気まりが悪くて仕方がなく、覚えず顔を真紅に染めて、一たんはお断りしました。――

『そんなことはいつでも宜しうございます。修行の後戻りがすると大変でございますから……。』

『イヤイヤ一度は逢わせることに、先方の指導霊とも手筈をきめて置いてある。