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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
03 小桜姫物語
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 页
二十四、なさけの言葉
二十四、なさけの言葉
先刻も申上げたとおり、私は小娘に導かれて、あの華麗な日本間に通され、そして薄絹製の白の座布団を与えられて、それへ坐ったのでございますが、不図自分の前面のところを見ると、そこには別に一枚の花模様の厚い座布団が敷いてあるのに気づきました。『きっと乙姫様がここへお坐りなさるのであろう。』――私はそう思いながら、乙姫様に何と御挨拶を申上げてよいか、いろいろと考え込んで居りました。
と、何やら人の気配を感じましたので頭をあげて見ますと、天から降ったか、地から湧いたか、モーいつの間にやら一人の眩いほど美しいお姫様がキチンと設けの座布団の上にお坐りになられて、にこやかに私の事を見守ってお出でなさるのです。私はこの時ほどびっくりしたことはめったにございませぬ。私は急いで座布団を外して、両手をついて叩頭をしたまま、しばらくは何と御挨拶の言葉も口から出ないのでした。
しかし、玉依姫様の方では何所までも打解けた御様子で、尊い神様と申上げるよりはむしろ高貴の若奥方と言ったお物越しで、いろいろと優しいお言葉をかけくださるのでした。――
『あなたが竜宮へお出でなさることは、かねてからお通信がありましたので、こちらでもそれを楽しみに大へんお待ちしていました。