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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

03 小桜姫物語

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 页

青空文庫

四十五、竜神の修行場

そう私が訊ねますと、天狗の頭目はいとど得意の面持で、斯んな風に説明してくれたのでした。――

『あれは本当といえば本当、ゴマカシといえばゴマカシでござる。われわれは肉体ぐるみ人間を遠方へ連れて行くことはめったにござらぬ。肉体は通例附近の森蔭や神社の床下などに隠し置き、ただ引き抽いた魂のみを遠方に連れ出すものでござる。人間というものは案外感じの鈍いもので、自分の魂が体から出たり、入ったりすることに気づかず、魂のみで経験したことを、宛かも肉体ぐるみ実地に見聞したように勘違いして、得意になって居るもので……。側でそれを見るのはよほど滑稽な感じがするものでござる……。』

四十五、竜神の修行場

天狗界の探検に引きつづいて、私は指導役のお爺さんから、竜神の修行場の探検を命ぜられました。――

『いつかは竜宮界への道すがら、ちょっと竜神の修行場をのぞかしたこともあるが、あれではあまりにあっけなかった。もう一度汝を彼所へ連れて行くとしょう。あの修行場には一人の老練な監督者が居るから、不審の点は何なりとそれに訊ねるがよい。』

『そのお方も矢張り竜神さんでございますか……。』